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この記事を読むと海上自衛隊幹部候補生学校について
- 学校生活
- 入校から卒業までの主要行事
- 卒業後のイメージ
を知ることができます。
海上自衛隊幹部候補生学校ってどんなところ?
海上自衛隊幹部候補生学校に入校したい
海自幹候名物!恐怖の【赤鬼・青鬼】
海上自衛隊幹部候補生学校には、鬼が潜んでいます。
その鬼は【赤鬼・青鬼】と呼ばれており、学生から恐れられる存在です。
幹部候補生学校の生活はこの鬼との戦いの1年になります。
赤鬼・青鬼とは?
簡単に言うと学生を指導する【鬼】です。
赤鬼、青鬼ともに、海上自衛隊幹部候補生学校の卒業生の中の成績優秀者が指定され江田島の地に鬼として戻ってきます。
彼らはなぜ鬼と呼ばれているのでしょうか?
⇒それは、彼らが学生のスケジュールを決めているからです。
学生生活の全ては鬼によって支配されているといっても過言ではないでしょう。
学生は鬼の手のひらの上で、いかに上手に生活するかが肝になります。
鬼に目を付けられてしまうと悲惨な目に・・
逆に、成績優秀者は鬼へ良い印象を与えることで、将来の昇進に大きく影響します。
将来の海上幕僚長を目指す方は、積極的にアピールするべきでしょう。
※ちなみに赤鬼、青鬼の正式名称は以下の通りです。
赤鬼:幹事付A(アルファー)
青鬼:幹事月B(ブラボー)
鬼の詳細を知りたい方はこちら▼
海上自衛隊幹部候補生学校の【地獄の6大行事】
- 入校式
- 遠泳訓練
- 総短艇
- 野外戦闘訓練
- 持久走大会
- 弥山登山競技
入校式+古鷹山登山【台風に注意】
入校式が地獄!?と思う方がほとんどだと思いますが、これは第1学生隊(大卒組)のⅡ課程(一般大卒)の方が特に痛感するでしょう。
その他は第1学生隊のⅠ課程(防大卒)や、第2学生隊(部内幹部・飛行幹部)、第3学生隊(幹部予定者)と、自衛隊経験者からの入校となります。
自衛隊の入校式に向けて、全員の動きを合わせるために訓練をします。
自衛隊に慣れていない方からすれば苦痛に感じるでしょう
しかし、本当の地獄はここからです。
入校式が終わり、保護者が帰ると学生宿舎内の雰囲気がガラッと変わります。
海上自衛隊幹部候補生学校の生活の幕開け
入校式が終わると、江田島には高確率で「台風」が上陸します。
春に「台風」が来るなんて普通では考えられません。
しかし、江田島には「台風」が来ます。
入校式が終わり、部屋に戻ると部屋がぐちゃぐちゃになっています。
それが「台風」です。
酷い時は部屋のマットレスが廊下にあったり、貴重品ロッカーの鍵を締め忘れてしまうと、ロッカーの中身は学生隊事務室に持っていかれます。
台風にびっくりしてわちゃわちゃしていると、次の集合が示されます。
江田島の古鷹山登山
そして、正門から近くの古鷹山登山が始まります。
この登山は、普段鍛えている人でも筋肉痛になります。
山を降りて部屋に戻ると、、、
なんとまた台風が!春の江田島の気象は不安定です。
きちんと施錠が出来ていれば部屋の物品が荒らされるだけですが、物品をきちんと管理できていなければ、いきなり呼び出しをされ鬼の餌食になります。
このような最低限のことは確認してから入校式に望むべきでしょう。
- 入隊式初日で何名もリタイアしていく
- 防衛大卒が頼もしい
総短艇【常に気を抜けない!?】
総短艇も海上自衛隊幹部候補生学校の一大イベントです。
分隊(学校で言うクラス)間で競い合い1位を目指すイベントです。
なぜ総短艇が地獄なのかは理由は大きく2つあります。
- 総短艇の開始は「学生隊待て」のマイクから
- 訓練期間が長い
総短艇の開始は「学生隊待て」のマイクから
総短艇は日が昇ってから沈むまでの間、いつでもかかります。
なので、気を抜くことができません。
正確には、総短艇に必要な知識技量を身に着けた後で、大体の実施される時期は分かるのですが、細かい時間は分からないので、総短艇に備えて準備をします。
訓練期間が長い
総短艇は、一言で言えば部活のようなものです。
防衛大学校卒業の学生や、部内出身は経験者ですが、それ以外の人はほとんど初めての状態です。
休日を返上して訓練することもありますし、手やお尻の皮が破れたりすることもあります。
しかし、それでも勝利のために訓練を重ねます。
卒業間近まで厳しい訓練をするため、夢の中で総短艇する学生もチラホラいるようです。
総短艇も海上自衛隊幹部候補生学校の伝統として長年に渡って続けられています。
毎期数名はカッター競技経験者がいてレベチ(高校大学での部活で短艇)
総短艇では皮がめくれる以外にも幹部候補生学校で生活する以上、自分で救急セットを用意しておくべきです。
入校前もしくは休日のうちに準備しておき、万が一の事態に備えましょう。
テーピングやグローブを巻いて訓練すると皮がめくれにくいので、自己投資におススメです。
総短艇で優勝した分隊は分隊長を海に落とし、その後みんなで海に飛び込む
遠泳訓練 【8マイルを泳ぎ切れ!】
海上自衛隊に入隊すると水泳は退職するまでつきものです。
江田島では約12キロの遠泳訓練が行われます。
これは、泳げない人にとっては最も過酷な訓練の1つでしょう。
しかし安心してください。
必ず泳げるようになります。
なぜならその道のプロが優しく丁寧に教えてくれるからです。
最初は泳げなかった人も最後は約12キロの遠泳訓練を泳ぎ切ることができます。
日焼けが痛い
泳げる人からしたら12km泳ぐことは楽勝でしょ?と思うかもしれませんが長時間夏の海で泳ぐことはきついです。
特に夏の海は日差しが強く、焼けるような痛さです。
約12kmも泳げば、日焼け止めの効果は薄れていってしまいます。
しかし、そんな過酷な遠泳の中にも楽しみがあります。
それは、遠泳の途中で支給される船に掴まって休憩しながら食べる乾パンです。
また海水パンツに飴を入れておき、糖分補給をする学生もいます。(入れすぎ注意)
12kmを泳ぎ切った週末に同期と飲むお酒は格別です。
遠泳訓練の後は日焼けした背中を触るシャレにならないイタズラが流行
野外戦闘訓練
野外戦闘訓練は10月に3日間にかけて行われます。
最初の2日間で戦闘訓練を行い、最終日は銃を持ったまま行進訓練です。
野外戦闘訓練と聞くと陸上自衛隊をイメージすると思いますが、海上自衛隊でも行います。
最初の2日間
この3日間で野外戦闘訓練の基礎を学びます。
戦闘訓練や傷者処置などをグループごとローテーションで訓練を実施していきます。
戦闘訓練では、匍匐(ほふく)前進などを頻繁に行うため、肘と膝が痛めつけられます。
そのため、サポーター購入で乗り切るのがおススメです。
野戦訓練以外の日々の訓練でも使うので早めに買っておくことをおすすめします。
予算別!戦闘訓練用サポーターのおススメ
- 無料:自分の肘、膝を強くする → 強靭な人向け
- 安価:テーピングを巻く → 傷ができてしまった人向け(サポーターがないとこうなる可能性大)
- 100円:100均サポーター → ないよりはマシ。薄くて痛いが擦り傷は防げる。
- 約1500円:ちゃんとしたサポーター → 無傷で訓練を終えられる。
余裕がある方はテーピングとサポーターぼ両方を用意しておくと安心ですね。
戦闘訓練の担当教官によって当たりハズレがある。
最終日
約40kmの行進訓練を行います。
イメージとしては銃(約5kg)その他荷物を持って朝から夕方まで歩き続けます。
陸上自衛隊と比べると荷物の重さなどの指定もなく、距離も40kmと短く感じるという方もいますが、それでも普通にしんどいです。
1番しんどいは、足の裏の皮がめくれることです。
足の皮が捲れる理由は、半長靴という普段は履き慣れない革靴を履いて更新するためです。
そのため、訓練の序盤でめくれてきます。
ですから、後半は足の裏の痛みとの戦いになるでしょう。
ここでも足の裏に課金をしておくと痛みが和らぎます。
テーピング
事前に巻いておきましょう。どうせ足の裏の皮はめくれます。
靴のインソール
インソールを付けている学生は歩き終えてもマメができていない人もいます。余裕があれば良いものを買い備えておくと良いでしょう。
野外戦闘訓練はを行う3日間だけでなく、それに向けた日々の訓練も大変です。
基本教練から、銃を持った動きなど初めてやることばかりです。
解決策は日々の訓練を頑張り、早く野外戦闘訓練が終わるように寝て待つことです。
持久走
持久走も1大イベントです。
秋には3000m持久走競技会があり、それに向けてトレーニングを行います。
もちろん分隊内での競い合いにもなるため、個別で訓練も行います。
分隊の中で足が速い人がトレーニングを考え、分隊の走りの底上げを目指します。
毎年、分隊の3000m平均タイムが10分30秒〜11分00秒くらいになります。
今まで全く走っていない学生も含めての平均なので、かなり速いタイムです。
毎年1人くらいは化け物級に足が速い人がいる
飛行幹部(航空学生出身)の平均が速い
走るのが苦手な人からしたら苦でしかありませんが、やればやるだけ速くなります。
これからの自衛官生活で必要な強靭な心が育つことでしょう。
弥山登山競技
弥山登山競技とは、弥山を登る競技ではありません。
弥山を走って登る競技です。
地味に嫌なのが、持久走競技が終わってひと段落かと思いきや、弥山登山が待ち受けています。
弥山に行けば分かりますが、走って登るような山ではありません。
しかし、登らなくては卒業は見えてきません。
弥山登山競技前は、休日に宮島へ出向いてコースの確認をするように促されます。
数名でまとまって宮島の弥山を駆け上る集団を見かけた場合は、高確率で海上自衛隊の幹部候補生です。
何回弥山の事前確認をしたかがステータスになる学生が存在
1番速かった人は「山の神」と呼ばれる
海上自衛隊幹部候補生の【楽しみな行事】
ここまで厳しいことばかり書いてきましたが、江田島での生活は厳しいことだけではありません。
もちろん楽しいこともあります。
基本的に後期になれば、生活にも慣れ落ち着いてきます。
慣れるまでが勝負です。
教務自習
教務や自習の時間は基本的に集合がかかったりすることはありません。(一部総短艇を除く)
ですから、学生にとっては安堵の時間です。
教務の休み時間などには、世間話や行事の話などで盛り上がったりします。
厳しいことがあっても同期と支えあって乗り越えていける。
そんな環境はここにしかありません。
同期は一生の宝となります。
週末・休暇
平日の訓練が厳しい反面、自衛隊に入るまでの生活と比べて、休みの嬉しさが倍増します。
海上自衛隊は艦艇勤務での曜日感覚を保つために毎週の金曜日の献立はカレーで統一されています。
そのため、休暇まで「残り〇カレー」と言った数え方をする学生もいます。
更に、国家公務員ですのでまとまった休暇が取れます。
夏休み、冬休み、ゴールデンウィークではそれぞれ2週間近く休みを取ることができます。
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艦艇実習、航空部隊実習などの研修
毎日の生活や訓練は厳しいですが、研修は学生の楽しみの一つです。
初めて乗る艦艇や航空機には多くの学生が感動を覚えます。
学生は様々な研修を通して、将来どんな仕事をするかイメージが湧きます。
海上自衛隊のパイロットは人気の職種であり、多くの学生が希望を出します。
興味がある方は航空身体検査の基準を確認しましょう。(適性がないとなれません)
海上自衛隊幹部候補生学校を乗り切った先に
3等海尉に昇任 (幹部自衛官)
海上自衛隊幹部候補生学校を卒業すると晴れて3等海尉に昇任します。
幹部自衛官は全体の2割と言われています。
上位2割の自覚を持って職務に全うすることになります。
しかし、ここで勘違いしてはいけないのが卒業してすぐは、幹部自衛官の中では1番下っ端です。
これから部隊に出て上官に揉まれていくことでしょう。
さらに、部下には自分より経験豊富で優秀な隊員がいます。
そういった方をまとめられる存在になるべく精進しましょう。
あんなに早く卒業したかったのにいざ卒業すると戻りたくなる
海上自衛隊の給料についてまとめています▼
遠洋航海で世界へ!
卒業後は、船に乗り各課程ごとに遠洋航海を行います。
第1学生隊は最長の半年間になります。
練習艦「かしま」等にのり、年毎のコースを回ることになります。
そこでは、船の中の仕事を実習として一通り学びます。
たくさんの外国の寄港地に寄り、上陸(外出)することができます。
たくさんの国々を見ることで、知見が広がります。
更に、船を降りる前に自分の職種が発表されます。最後まで気の抜けない実習です。
遠洋航海では乗組手当が発生し、テンションが上がる
まとめ:幹部自衛官を目指そう!
海上自衛隊幹部候補生学校では厳しくも愛のある教育が行われています。
入校を希望する方は、高い志を持って入校しましょう。
海上自衛隊幹部候補生学校で得た経験は一生の宝物となり、今後の糧になるでしょう。
また、厳しいことは多いですが、その分楽しいことも多いです。
同期との絆を大切にし、シーマンシップを育み、強い意志を持って海上自衛隊の一角を担う幹部自衛官を目指しましょう。