海上自衛官の給料がどれくらいか気になる方は多いのではないでしょうか。
結論から言うと、安定した国家公務員として勤務する海上自衛官の給料は高いです。
陸上自衛官や航空自衛官と比べても高いです。
なぜなら、海上自衛隊には特有の手当があるからです。
- 海上自衛隊のボーナス額
- 階級による給料の違い
- 海上自衛隊にどんな手当があるのか
- 海上自衛隊として年収1000万を越える方法
海上自衛隊の給料事情が気になる方にはおすすめの内容となっています。
※この記事は防衛省の職員の給与等に関する法律を根拠に記載しています。
海上自衛官のリアルな給料
実際、海上自衛官はどれくらい給料を貰っているのでしょうか。
手当が付いていない海上自衛官でも、毎月年齢と同じくらいは貰っているイメージです。
自衛隊の給料体制は年功序列であり、階級によって給料が変わります。
つまり、いかに早く出世し、長く勤続するかによって給料が上がります。
海上自衛隊では、よほど悪いことでもしなければ、毎年「号俸」が上がり、給料が増えていきます。
同じ階級でも号俸により給料が大きく異なります。
号俸の上がり方には個人差がありますが、毎年1万円行くか行かないか給料が増えます。
では、実際に階級によってどれくらい給料が変わるのでしょうか。
基本給は階級、号俸によって年収は変わる?
海上自衛隊の基本給は、「階級」と「号俸」によって年収は変わります。
階級とは、軍隊での位を表す言葉で、自衛隊における指揮系統で区別されています。
一方で号俸とは、階級の中での序列のようなものです。
号俸は、年に1度(1月1日)に上がります。1度に上がる号俸の上限は決まっているので、号俸を上げるためには勤務年数が重要になります。
階級と号俸による給料の変動は以下の通りです。
防衛省の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律に基づき、号俸は1年で勤務成績により3~5ずつ上がります。
この表を見て計算をすれば、自分の昇進するタイミングと勤務年数をイメージし、基本給を予測できます。
これを見て「意外と給料が低い?」と思う方もいるかもしれません。
しかし、実際にはこれに加えて「手当」と「ボーナス」が存在します。
それぞれ見てみましょう。
海上自衛隊は手当が大きい!
ここまで話した内容は基本給についてであり、陸上自衛隊や航空自衛隊でも共通しています。
海上自衛隊が他の自衛隊と大きく異なる点は、船に乗ることによる手当が全般的に大きいことです。
自衛隊全体には以下の種類の手当があります。
- 扶養手当
- 期末・勤勉手当,地域手当等
- 防衛出動手当
- 航空手当
- 乗組手当
- 落下傘隊員手当
- 特別警備隊員手当
- 特殊作戦隊員手当
- 航海手当
- 営外手当
- 特殊勤務手当
このような手当ては職務の特異性や、危険に応じて設定されています。
海上自衛隊は、船に乗ることで、乗組手当と航海手当がつきます
乗組手当とは?
要は艦艇勤務を命じられた海上自衛官です。
乗組手当のミソは、現号俸に対して手当がつくことです。
乗組手当っていくらもらえるの?
海上自衛隊の乗組手当は2種類あります。
通常の艦艇(護衛艦)に乗った場合と、潜水艦に乗った場合で異なります。
乗り組み手当は、出港していない状態でも付きます。
俸給月額×0.33
俸給月額×0.45.5
航海手当っていくらもらえるの?
航海手当とは、艦艇勤務をする者が港を離れて航海したときに付く手当です。
乗組手当と違い、常につく手当ではありません。
航海手当は日本本土からの距離に応じて1~4区に分かれており、1日ごとに発生します。
以下の表のようになっています。
【海曹】4区を30日航海した場合の給料の艦艇、潜水艦別給料の一例
艦艇勤務をする海上自衛隊2曹(号俸63勤続20年)
322,100 + 乗組手当112,893(342,100×0.33) + 航海手当55,550(4区1,850円×30日) = 490543円
潜水艦勤務をする海上自衛隊2曹(号俸63勤続20年)
322,100 + 乗組手当153945円(342,100×0.45) + 航海手当55550円(4区1850円×30日) = 531595円
【幹部】4区を30日航海した場合の給料の艦艇、潜水艦別給料の一例
艦艇勤務をする海上自衛隊3佐(号俸94勤続20年)
460,000 + 乗組手当151,800(460,000×0.33) + 航海手当92,400(4区3080円×30日) = 704,200円
潜水艦勤務をする海上自衛隊3佐(号俸94勤続20年)
460,000 + 乗組手当207,000(460,000×0.45) + 航海手当92,400(4区1850円×30日) = 759,400円
こうやって給料を見てみると結構もらっていることが分かると思います。
海上自衛隊の給料の平均額が自衛隊の中で1番大きいのも納得です。
給料が多い分、洋上でのストレスに耐えながら勤務する必要があります。
航空手当とは?
航空機の搭乗員として航空隊勤務をすると貰える手当です。
この手当を貰うためには、3つ選択肢があります。
- 海曹、士として航空士になる
- 航空学生として幹部搭乗員(パイロット、戦術航空士)になる
- 幹部候補生学校卒から幹部搭乗員(パイロット、戦術航空士)になる
航空手当はいくらくらい貰えるのでしょうか?
航空手当っていくらもらえるの?
航空手当は初号俸に対して60%の手当が付きます。
ですから、乗組手当の「現号俸」のように、号俸(勤続年数)が増えれば額が増えるわけではなく、「階級」が上がるたびに手当が増えていきます。
乗組手当→「現号俸」に対して手当が加算される(号俸が上がるほど増える)
航空手当→「初号俸」に対して手当が加算される(階級が上がるほど増える)
海上自衛隊には回転翼航空機(ヘリコプター)と固定翼航空機(飛行機)が存在していますが、どちらも変わらず60%の手当です。
また、IMC(雲の中を飛ぶ計器飛行)や、海面すれすれでの訓練、艦艇への発着艦、航空士の洋上降下救助訓練などでは600円~1000円×1回ごとに手当が付きます。
【海曹】海上自衛隊航空士の給料一例
航空部隊勤務の勤続20年2曹航空士
322,100 + 航空手当136860(2曹初号俸×0.6) = 458,960円
【幹部】海上自衛隊パイロットの給料一例
航空部隊勤務の勤続20年3佐操縦士
460,000 + 航空手当193,500(3佐初号俸×0.6) = 653,500円
海上自衛隊のヘリコプターパイロットの給料は自衛隊で1番高い?
実は、海上自衛隊のヘリコプターパイロットは、自衛隊で1番給料が高いと言われています。
海上自衛隊のヘリコプターパイロットは、艦艇に着艦し、艦艇の乗組員として任務に当たります。
つまり、現号俸の33%貰える「乗組手当」と、パイロットとして貰える初号俸の60%「航空手当」、航海中に毎日つく「航海手当」、発着艦をするたびに貰える「発着艦手当」が4重に貰えてしまうわけです。
【4区航海、30日搭載時】海上自衛隊ヘリコプター操縦士 勤続20年3佐操縦士
460,000 + 航空手当193,500(3佐初号俸×0.6) + 乗組手当151,800(460,000×0.33) + 航海手当92,400(4区3080円×30日)+発着艦手当20,000(1日の着艦回数×1000円前後)= 917,700円
海上自衛隊の30代前半以降のヘリコプターパイロットは年収1000万を越えていると思っていいでしょう。
また、飛行隊長(2佐)として長期の海外派遣などに行った場合、年収は1500万円台越になることもあるくらいです。
その分危険も伴いますが、年収は高いと言えます。
海上自衛隊のボーナスってどれくらい?
海上自衛隊のボーナスは、6月30日と12月10日の年2回に分けて支給されます。
額は勤務成績により異なりますが、毎月の給料の約2ヶ月分が年2回支給されます。
ボーナスは「期末手当」と「勤勉手当」で構成されています。
詳しくは紹介していませんが、ボーナスの基準額には「地域手当」や「広域移動手当」なども含まれています。
海上自衛隊は給料以外の補助も大きい
先程は給料について説明をしましたが、実は艦艇や潜水艦に乗ると食事も無料で提供されます。
しかも、とても美味しいです。
洋上での仕事のストレスは大きいため、それに応じて予算も多く割り当てられ、腕の立つ料理人が艦艇で食事を作っています。
食費が無料ということは、船に乗っている間は毎月5万円程節約できると言っても良いでしょう。
また、営内で暮らす方は家を借りる必要がなく、家賃もかからないので、さらに約5万円節約できます。
海上自衛官として年収1000万を狙える方法
先程話した実例を元にまとめると
- 船乗り、潜水艦乗りとして長年勤務
- 航空機搭乗員になる(パイロット、戦術航空士、航空士)
- 幹部になる(3佐以上)
になることより、年収1000万円以上が狙えます。
陸上自衛隊や航空自衛隊と違い、船や潜水艦に乗ることで大きな手当がつくのは海上自衛隊の魅力と言えるでしょう。
まとめ:海上自衛隊の給料は高く、年収も良い
海上自衛官の給料は高いです。
しかし、船に乗ることが嫌な方(長くて半年程帰ってこれません)にとっては苦痛に感じるでしょう。
船に乗っても平気な方は、是非海上自衛隊に入隊し、高年収を目指しましょう。
まだ若く、向上心がある方は幹部候補生学校への入校や、航空学生になることを検討してみるのも1つの選択肢になります。
試験対策をすることで合格へ近づけるので、過去問をたくさん解くようにしましょう。
海上自衛隊として勤務すると普通は体験できないような経験もでき、やりがいも大きいです。是非入隊を検討しましょう。
航空自衛隊の給料が知りたい方はこちらの記事▼
陸上自衛隊の給料が知りたい方はこちらの記事▼